ゆっくりのほうは延々とパターントレースの地味作業中で
とくに書くこともないので、ののワさんの解説の続きでも。
動画内でも「造形はすごく簡単そう」とコメントをいただいている通り
自分も作る前は「これは難易度2だな」と高をくくっていました。
通常、クレイモデルを作っているそばからパターンの展開図が頭に
浮かんでくるんですが、これに限ってはすぐに矛盾点が出てきて
手が止まってしまうことが多かったです。

原因はこのアイテムには、図のような微妙に角度の付いたライン(左)と
シャープな直角のライン(右)を出すことが不可欠ですが中に
ふかふかの綿を入れるぬいぐるみではそれらが難しかったからです。
ただ綿を入れただけでは膨らんでしまうので、どの場所にどんな形の
拡がりを防ぐパーツを入れたらいいのか考えることに多く時間が掛りました。

動画で紹介してるようにモミアゲと後ろ髪は全て形が異なります。
それ自体は型紙が増えるだけで別段むずかしいことはないですが
後ろ髪をある方向から見た場合にデザイン画のこの形

になるように角度を調節するのに手間取りました。
単に別々の形にしたいから別々の形に"した"のではなく
このような理由で別々の形に"なった"わけです。
クレイモデルからのパターントレース技術向上によって
試作からパターンを修正することはほどんど無くなりましたが
リボンだけは本番までに5回ほど作りなおしています。
服飾のパタンナーがズボンの型紙を引く時、一番気をつかって
いるのはベルトループの位置と数と大きさです。
一般の人からみたら気にも留めないようなところが実はイメージを
大きく左右している場所だったりします。

そのベルトループに当たるのがこのアイテムではリボンです。
デザイン画の一見、取って付けたような、ぞんざいな感じを再現するのが
大変でした。 5%刻みで拡大縮小を繰り返してベストな大きさ
を見つけただけあってなかなか良いバランスに仕上がったと思います。
量産型たこルカより数段レベルが高い理由がおわかりいただけたでしょうか。
解説を読んでから再度、動画を見るのも面白いかもしれません。
次回、もしあるならボディーについて。
- 2010/01/26(火) 05:15:55|
- 作品解説:ぬいぐるみ
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このキャラクタには大きく分けて
頬が極端に出っ張ったものとそうでないものの2つのタイプがあります。
作製しやすいのは後者ですが、完成が予想できすぎて面白みがない。
なのでニコニコ内でよく素材として使われている
さいpのデザイン画を基に
前者の立体化に挑戦しました。

この絵を見ると向かって左側の頬は付き出ていますが
右側は直線に近くなっています。

当初は左右非対称の顔を作りこの絵を再現しようとしましたが
それはもはやぬいぐるみではなくオブジェではないかということで却下。
出っ張った頬はモミアゲ(?)部分に隠れているという解釈で進めることにしました。
形を再現するだけならいくらでも方法はありますが
パターンの配布を考えているので難易度はできるだけ上げず
刺繍の範囲が大きいので顔に縫い目を作らず済む方法を模索。

結果、モミアゲと顔を面て繋げる方式を採りました。

Aからみた場合頬の出っ張りはシンメトリです。
Bからみた場合片側は直線に近くなり、もう一方は頬か突き出します。

これで顔パーツが左右対称の1枚で済む上に頬の出っ張りも再現でき
縫製もある程度簡単になりました(なったんじゃないかな)。
次回は髪について。
- 2009/12/20(日) 20:34:22|
- 作品解説:ぬいぐるみ
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底の基本形はこのようなパーツです(図左)。
これを合わせると横から見たラインは図右(緑線)のようになります。

今回の場合、顎から喉(があると想定される位置)までは丸く
そこから首があると想定される部分は直線に近いラインを表現することにしました(赤線)。

パターン上で単純に考えれば首の位置から直線(青線)にすれば良さそうですが
曲線とのつながりが不自然なのと、綿を入れると若干膨らみは出るので
それらを解消するために図の赤線のように抉っています。
顔は今回で終了です。 取り付けに使ったアタッチメント類の説明は後に回します。
次回は前髪の解説に入っていきます。
- 2009/05/25(月) 22:57:32|
- 作品解説:ぬいぐるみ
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長さが違うパーツ同士の場合、長いほうを短いほうに合わせて
しわが寄らないように縮めて縫います。 これを「いせ込み」といいます。
この処理をすると長いほうのパーツが短いほうより丸くふっくらした感じになります(左)。

いせ込みをしないと、つなぎ目が直線的になって角ばった感じになってしまいます(右)。
生え際の方は横からみたラインが比較的まっすぐのところでパーツを分けているため
この処理はおこなってません。
※いせ込みについてですが手元の辞典やネットで調べると
いせる部分を細かくぐし縫いして糸を軽く引き締めて云々、、、
、、と、プロっぽい方法しか紹介されていません。
ぶっちゃけてしまいますと、縫い始めと終わり同士をマチ針で留め
その中間点同士をマチ針で留め、またその中間点同士を留めるを繰り返し
感覚的には、いせ込みの説明とは逆に短い方を引っ張って長い方に合わせて
縫えば、だいたいいせ込みっぽくなります。
慣れてない方にはこっちのほうが断然きれいで簡単にできると思います。
そんな難しいテクニックでないので気軽に使ってみてください。

次にこの分割したパターンですが、いちばん生地の安定するところ(緑斜線)が少ししかなく
青斜線の部分の強度が若干弱くなります。
加えて裁断時には生地に無駄が多く出るため通常ならば底のパーツと結合させるなり
形を改善するなりするところですが、アゴとその下(底)のシルエットを
3次元的に表現したかったのでそのまま使いました。
次回は底のラインについて。
- 2009/05/23(土) 22:53:26|
- 作品解説:ぬいぐるみ
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「生地は何を使っているのか?」という質問をいただいているので
はじめにそちらに答えていきたいと思います。
今回使用したのはベロアです。 ちょうど半端品が安く手に入ったので。
しかしこれは伸び縮みが激しいのであまり使うのを推奨していないニット系の生地です。
でもモフモフした手触りが良い感じなのでどうにかこれを使える生地にしました。

芯地を利用します。 芯地(しんじ)とは表地の補強などをするサポート生地です。
手で縫いつけたりするタイプもありますが、このブログでは芯地と言ったら
特に注釈がない限りアイロンで接着できる接着芯地のことだと思ってください。
※芯地はなるべく表地の色に近いものを使います。

伸び縮みが激しい生地が裏面に芯地を貼ることにより使えそうな生地に早変わり。
※写真は今回髪部分に使用した生地。 同じ大きさのものを同じ強さで引っ張っています。
伸びて端がめくれあがってしまった上に対し、芯地を貼った下はしっかりしています。
芯地と一言にいってもいろいろなタイプがあります。
縦横にある程度伸びるもの、まったく伸びないもの、横だけによく伸びるもの。
加えて、厚みがある、まったくない。 織り目が詰まっているもの、柔らかいもの。
さらに接着の糊が多くついているもの、あまりついてないもの。
(糊が多すぎると表地の風合いを損ねるし少ないと動きが激しいところにつけるのは心もとない)
例えば、一枚貼った時点で伸縮率はよい感じになったけど、生地にもっと厚みが欲しいと思ったら
その伸縮率に影響しないような、よく伸びる芯地を重ね貼りしたり
縦はちょうど良いけど横は伸びすぎるという表地には、横だけに伸びる芯地を90度傾けて貼ったり
場合によってはその角度を45度、30度、20度・・・と、変えてみたりしていろいろ作りだせます。
こうしたテクニックを頭の隅にでも入れておくと生地選びに幅が広がって楽しいと思います。
少々長くなってしまったので頭部分の詳しい解説はまた次回にまわします。
- 2009/05/21(木) 23:06:48|
- 作品解説:ぬいぐるみ
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